![]()
今回展示されるビデオ作品 "Electric Earth" は1999年のヴェネチア・ビエンナーレで国際賞を受賞。また今年3月、ニューヨークのホイットニー・ビエンナーレにも出品された作品のシングルスクリーンバージョンです。
エイケンは、このヴィデオ作品で主人公の若い黒人男性がひとり部屋にたたずむ光景や、クラブミュージックのビートにあわせ踊りながら明け方の街を徘徊する様子を時折静寂な風景を挟み込みながらリズミカルに描きます。ミュージック・ビデオのディレクターでも有名なエイケンは、あらゆる最先端の映像表現手法を駆使して現代都市社会における新たな映像風景を創りあげました。その卓越したカメラワークや編集センスは、ヴィデオアートにおける映像表現の地平を広げたとして世界で高く評価されています。
"Electric Earth" で描かれている情景は場所と時間が特定されて展開しているように見えますが、実際は彼が長い時間かけて集めた素材を組み替え構成されたハイブリッドな架空の風景です。「 "Electric Earth" の風景は荒涼としており、オートメーション化されている。しかし機械を動かす"電気"は、その電気で動く装置よりもより重要なのだ。主人公の男が反応するもの、彼を絶えず動かしているものがその"電気"なのだ」(Artforum, May, 2000)とエイケンが語るように、この作品は、情報が氾濫している現代社会の風景を受動的に映し出しているのではなく、その風景を絶えず生み出している推進力そのものを描こうとしている。